とはいえビジネス敬語では、日常生活では使う機会が少ない、独特な言い回しを使う機会が多いもの。
自信満々に使っているビジネス敬語が、実は「マナー違反の間違った敬語」というケースも少なくありません。
間違えやすいビジネス敬語には、一体どのようなものがあるのでしょうか。覚えておくべきビジネス敬語について、実例を挙げて紹介していきます。
実際に会って話をするときだけではなく、電話やメールでも正しい言葉遣いを実践できるよう、頭に入れておきましょう。
スポンサーサイト
目 次
目上の人が目下の人にかける言葉
日本語の中には「目上の人が目下の人に対して使う言葉」というものが存在しています。
一見すると丁寧そうに思えても、全く敬意を示せていない場合があるので注意が必要です。
- よくある失礼フレーズ
- ご苦労さまです
- お世話さまです
- 大変参考になりました
- おわかりいただけたでしょうか
使う機会の多い上記のフレーズは、相手によっては「NGワード」と判断される場合があるので注意しておきましょう。
「部下」の立場、「目下」の立場で話をする機会が多い方なら失敗も減るはずです。こちらで具体的に紹介していきます。
ご苦労さまです
相手を労う意味で、つい使いがちな「ご苦労さまです」というフレーズ。
しかし、日本の歴史の中で、この言葉は「目上の人から目下の人にかける言葉」として使われてきました。
このため、目下の人から目上の人に対して「ご苦労さまです」と伝えてしまうと、「何を偉そうに!」と思われてしまう可能性があります。
「ご苦労さまです」ではなく、正しくは「お疲れさまです」となります。
「お疲れさまです」は、どのような場面でも活用しやすいフレーズですから、定番の挨拶・言葉遣いの一つとして頭に入れておいてください。
お世話さまです
「ご苦労さまです」と同じような意味で使われるフレーズです。
相手に対する「お礼」の気持ちを伝えるつもりで、「お世話さま」と伝えても、残念ながら敬意が足りないと判断されてしまいます。
正しいフレーズは「お世話になっております」「大変お世話になっております」となります。
大変参考になりました
「参考になる」というのは、自分の考えを決めるときの「プラスアルファの情報として扱う」という意味です。目上の人から意見をいただいたときに「参考になる」程度の認識では、失礼な印象を与えてしまいます。
丁寧な気持ちで使っていても、マナーに細かい相手の場合、不快にさせてしまうケースもあるので使い方に注意しましょう。
正しくは、「大変勉強になりました」です。
些細な違いに思えますが、実際は大きな違いが存在しています。
おわかりいただけたでしょうか
相手の理解・認識を確認するための便利な言葉ですが、こちらも失礼な言葉遣いに当たります。
「おわかりいただけたでしょうか」の意味は、「わかりましたか」というもので、非常に尊大な印象を与えてしまいます。
上から目線にならないためには、「ご理解いただけたでしょうか」と伝えるのが正解です。メールや電話においても、注意してください。
スポンサーサイト
日本語として意味を間違えて使っている言葉
普段何気に使っている言葉でも、自分が思っているのとは違う意味で伝わってしまうことがあるので注意が必要です。
もし、すでに間違いフレーズを覚えてしまっているなら、正しいフレーズを復唱し、こちらでしっかり覚えておきましょう。
- よく聞く間違いフレーズ
- お名前をいただけませんか?
- 私には役不足です。
- お体をご自愛くださいませ
お名前をいただけませんか?
相手の「「名前」は、物ではありません。
当然「いただく」ことなどできないのです。
定番フレーズのように使われていますが、言葉遣いに厳しい相手の場合には不快な思いをさせることもあるので、使わないよう注意しましょう。
正しくは、「お名前をお聞かせいただけますか」や「お名前をうかがってもよろしいでしょうか」です。
やみくもに省略しないようにしましょう。
私には役不足です。
「役不足」というのは、自分の力量に対して、役割が軽すぎるときに使う言葉です。
「その仕事は、私には役不足です」と伝えてしまうと「私にはその仕事、簡単すぎます!」と言っているのと同じ意味となり、全く異なる意味で伝わってしまいます。
自分の力が足りないことを表現したいときには、「実力不足」や「力不足」を使いましょう。
「役不足」とは似た言葉ですから、しっかりとその違いを頭に入れておいてください。
お体をご自愛くださいませ
「ご自愛くださいませ」という言葉には、もともと「体に気を付けてくださいね」という意味が含まれています。
そこに「お体を」という言葉を付け加えると、「お体をお体を大切にしてください」と、二重表現になってしまいます。
「より丁寧にしたい!」という気持ちはわかりますが、シンプルに「ご自愛くださいませ」とすればOKです。
逆に失礼なよくある二重敬語
言葉を丁寧にするために使われる敬語ですが、丁寧にし過ぎるのも禁物です。
特にビジネスシーンでは、「敬語を使わなきゃ!」という思いから、文中に2つも3つも敬語を重ねてしまう方もいます。
すでに定番フレーズとして定着しつつあるフレーズで、実は二重敬語で失礼にあたる言い回しを紹介します。
- 定番間違いフレーズ
- 役職名 + 様
- お越しになられる
部長様
役職名には、すでに敬称が含まれています。
わざわざ「様」を付ける必要はありません。
たとえ相手が「社長」であっても、同様の対応をしてください。
お越しになられる
「来る」という言葉を敬語にすると、「お越しになる」です。
それをさらに丁寧にしようと、作られたのが「お越しになられる」ですが、これも間違いです。
一つの単語に、敬語は一つで充分です。
シンプルに「お越しになる」や「いらっしゃる」「おいでになる」を使ってください。
「おっしゃられる」や「ご覧になられる」「お見えになられる」も同様の理由によりNGです。
「おっしゃる」「ご覧になる」「お見えになる」と表現するのが正解です。
まとめ
実際に会ったとき以外にも、電話やメールなど、ビジネス敬語を使う機会は多くあります。難しいポイントも多くありますが、一つ一つ確実に頭に入れておきましょう。
敬語がきちんと使えない相手に対して、信頼感を抱くというのは難しいこと。社会人のマナーとして、正しい言葉遣いについてしっかり勉強しておきましょう。